現役ケアマネの「おあしす」です。
「おあしす」は、ケアマネ受験、施設選び、介護転職のアドバザーをしています。
今回は、介護転職のアドバイザーとして記事を執筆します。
介護転職は、大変かと言われたら大変です。しかし、どの職業もそれぞれ大変だと思います。
では、介護職は何が大変なのか解説していきます。
- 移乗介助や入浴介助で重い体を支えるため腰痛が出たり勤務が不規則なので疲労がなかなか抜けず身体的な負担が大きい
- 認知症の対応や利用者、その家族のクレーム対応で精神的な負担が大きい
- 利用者の危険行動に対応するために精神的な負担が大きい
- 人手不足で職場に人がおらず負担が大きい
- 介護保険に上限があり生産性が低いので給与は上がりにくい
介護職の身体的な負担
体を支える介助をする時に重要なのは、対象者がどれだけ立てるかです。手すりを使い立てる方であれば介助者の身体的な負担は少ないです。
しかし、体が大きく体を支える能力が低下している方を支える時に体力を使うので身体的な負担は大きくなります。
体力を使うので疲労が溜まると腰痛を引き起こしやすくなります。また、夜勤などの不規則な勤務体系なので疲労が回復しにくい環境です。
介護職の身体的な負担の軽減方法
介護職に腰痛はつきものと言われますが、ボディメカニクスやスライディングボード等を使用して体の使い方を工夫すれば腰痛になることはありません。
ストレッチ
介護職で多いのが、利用者さんを移乗介助したり立位介助などの体を支える介助です。これらの介助をする際に使われるのが背部の筋肉や太ももの前の部分の筋肉です。背部の筋肉で引き起こし膝周りの筋肉で支えるので背中や膝が痛くなり、体の中心である腰が痛くなります。
介護職は、体のメンテナンスをしないと続かない職業でもあるのでしっかり体のメンテナンスをしていきましょう。
ボディメカニクスやスライディングボードを使用
力任せに移乗介助をすると必ず腰痛を起こします。ベッドの位置を高くせずにオムツ交換をしたりベッドの高さを変えずに移乗介助をすると利用者さんにも負担がきます。
ボディメカニクスというのは、体の仕組みを理解した上でする介助や身体操作です。動けない方をベッド上で側臥位にしたり仰臥位にしたりする時もコツがあります。ボディメカニクスを意識することで介助をする側も受ける側も身体的な負担が少なくて済みます。
実際に、こうすると伝えられたらいいのですが文章では難しいです。最初は、体を支える介助をする時に足を横にしっかり開いて自分の体に力が入るようにします。そして、膝を少し曲げて介助をすることで介助する側に力が入って楽に介助ができます。
また、全く立位が取れない方に関してはスライディングボードを使用してベッドから車椅子への移乗をすることで介助者の身体的負担を軽減できます。
介護職の精神的な負担
認知症の方を相手にするということは、理解のできない子供を相手にするようなものでストレスが溜まります。また、自分の身体機能を考えず歩けないのに歩こうとしたりベランダに出てみたりと危険な行動をされます。
目が離せないのが認知症の方です。ただ、介護職は認知症は病気だということを理解した上でケアをしなければいけません。
利用者さんもなりたくて認知症になったわけではなく、現役の頃は立派な社会人だったことを意識して接しなければいけません。
認知症でなくても高齢者はできないことが多くなり依存心が高くなります。そうすると、「あれやって、これやって」と自分ができることまで依頼してこられます。もちろん、自分のことは自分でしたい方がほとんどでできないから頼まれる方がほとんどです。
また、ご家族のクレームが多いですがごく一部です。こちらがまともなケアをしていればクレームがくることは珍しいです。ただし、ケアをしてもクレームを言われるご家族はいらっしゃいます。無理難題を言われる場合は、上司に相談して対応してもらった方がいいです。中途半端な対応をするとさらにクレームになることが多いからです。
認知症の方のケア方法
- 認知症は病気なので病状に合わせたケアをする
- 薬でのコントロールを提案する
- 認知症の方は、まとめてケアや見守りをするようにする
- ユマニチュードなどの認知症ケアの技術を積極的に取り入れる
- 信頼関係を築き興奮状態がないようにする
認知症の方のケア方法はあります。まずは、どういう思考で問題行動を起こすのか考えることが重要です。認知症だからしょうがないと思うと状態は改善されません。
ユマニチュードにもありますが、まずはご本人を尊重したケアをします。そこで信頼関係が生まれれば指示も通りやすくなります。バカにした態度でケアをしている人と利用者さんの間で信頼関係は生まれません。
依存心の強い高齢者に対するケアの方法
- 意外と要求を迅速に対応すると次の要求はない
- 呼んだらすぐにしてくれるという安心感があればご本人も安心して過ごせる
- 呼び出しが多いのは、本人の焦りがあるから何度も言われる
- 仕事なのでケアはしますが、本当にご本人ができないことなのか確認したり、ご本人ができるやり方を提案していく
- 「黙ってすればいいんだ」等の命令をされる時は、介護保険ではできないことを説明して毅然とした態度で話す
- 信頼関係があれば、ケアする側の話を聞いてくれることがある
「ちょっと待って」と言いながら行くことができないくらい忙しい場合はあります。しかし、行かないよりは時間が経っても行くことで必ず来てくれるという信頼が生まれケアする側の要求を受け入れてくれることがあります。
たまに、プライドが高くケアする側のことを理解されない方に関してはケアをまとめて伺うようにして集中してケアを終わらせるようにします。その方が効率的に仕事はできます。
ご家族のクレームに対する対処方法
- 情報を収集しておく、間違ったことを言ってはいけない
- ご家族の話を聞いた上で回答する
- ご家族の立場になって話す
- 介護側の認識と違うことは毅然とした態度で訂正をする
- 感情的にならない
- クレームはコミュニケーションだと思い前向きに捉える
二度手間は、さらにクレームを増やしてしまいます。まずは、しっかりした情報を元に状況をお伝えしないといけません。
また、こちらの主張を先に言うよりはご家族が何に対してクレームを言っているのかをきちんと把握しないと見当外れの回答になりクレームが増えます。
ご家族がどんな気持ちでクレームを言われているのかを把握しないと感情的な言い合いになり話が進まなくなります。ご家族の意見に耳を傾けながら共感できるところは共感した姿勢を見せなければいけません。
ただ、家族の誤解や勘違いはありますので間違いを訂正しなければいけません。間違いを訂正するためには正しい情報を得ておく必要があります。
クレームを言われる方は、ご自分が正しいと思い強く言われると思います。しかし、介護側が同じように強く言えば衝突することになります。気持ちを抑えてご家族の様子を見るぐらい余裕を持って対応した方がご家族の気持ちもおさまりやすいです。
クレームは、英語で「当然の要求」という意味です。
クレームはご家族や利用者さんからのメッセージだと思い、改善するところは改善するようにした方がよりより運営ができると思います。
クレーム対応は、精神的に気を遣います。ですが、ご家族の見方や対応を知っていれば落ち着いて対応ができ精神的な負担は減ります。
人手不足で負担が大きい
どこの職場でも、人手不足は深刻です。募集しても人は来ません。
理由はいくつかありますが、介護職のコツを知る前に辞めてしまい介護は大変だというイメージがついているように感じます。また、給与の低さも介護職人気に拍車をかけていると言われています。
- 人を育てる環境の職場にいることが大切
- 効率的な仕事の仕方を覚えることが重要
- 利用者さんと信頼関係作り、してもらいたいことを先回りしてすることで段取りよく仕事をすることができる
人手不足になる理由として退職者が出ることが一つです。定年退職で欠員が出る場合は、新卒等で補充をされているので人手不足になることはありません。
しかし、入職して途中で辞められると欠員を補充する前にまた、欠員が出てどんどん欠員を埋められなくなります。人手不足の職場は転職者からも避けられるのでさらに人手不足は解消できなくなります。
辞める原因として教育されないままに仕事をすることがあります。教育をしないと人材は育たないし職場の不信感にも繋がります。
人手不足の職場ですること
効率的な仕事の仕方を覚えることで自分の疲労が減ります。そして、利用者さんが次に望むものを先にすることで利用者さんも機嫌よく過ごすことができてトラブルや余計な仕事が減ります。
これは、人手不足の職場だけでなくどこの職場でも意識すると仕事が楽になってきます。
給与が上がりにくい
- 求人票の最高月収は、高いがなかなかそこまでいかない
- 夜勤回数を繰り返さないと給与が増えない
- 長年勤務している職員の処遇改善加算を事業所が他の職員にばら撒いてしまう
- 昇給の条件を聞いておく
- 昇給ができなければ、資格をできるだけ取り転職をする
給与が5年据え置きなど事業所によって違います。特別養護老人ホームだと定期昇給が義務付けられているので長く働けば給与は上がっていきます。
しかし、介護報酬の少ないデイサービスでは給与が上がることはほとんどありません。コストのかかる介護事業も利益が出ず給与が上がることはありません。
訪問介護は、訪問件数に応じて収入が変わることがありますが長時間労働や深夜労働で頑張らないといけません。
リーダークラスの職員の給与を上げるために国策で処遇改善加算を導入しましたが、国の思惑とは違い対象の職員だけでなく他の職員にも分配する権限を事業主に与えているため思ったほどの昇給ができていません。
給与で後悔しないための方法
入職時に、昇給の明確な条件を確認することが重要です。納得した上で就職しないと後で後悔することになります。特に、求人票の最低月収と最高月収が開いている事業所では基準がないとどうやって月収を決めているか分かりません。
事業者が、経営上の理由や事業者の考えで昇給できないと示された場合には資格を取って次の職場に転職した方がいいと思います。
どうしても、儲からない介護事業はありますし事業運営の失敗で人件費を上げられない事業者もいます。しかし、事業者の失敗を職員が尻拭いする必要はありません。今は、介護人材不足や物価高騰で余裕のある事業者は求人の月収を上げて募集し始めています。
もちろん、採用が決まってからでいいと思いますが引き継ぎをして転職できるように段取りした方がいいです。
転職後の仕事内容を確認した上で、転職することは悪くないと思います。自分を商品だと思って日々の業務をこなして成長することが重要です。
現在、主任介護支援専門員は取得要件が厳しく需要があり高給での求人募集が増えています。
まとめ
- 介護職は、身体的な負担が大きく腰痛になることが多い
- 身体的な負担は、体のケアをしたり介護の仕方を工夫することで軽減できる
- 介護職は、精神的な負担が大きくストレスが多い
- 精神的なストレスは、認知症ケアの方法や依存心の強い高齢者の対応方法、ご家族のクレーム対応方法を学ぶことによってストレスは軽減できる
- 人手不足の職場では、効率的な仕事を身につける
- 昇給の条件を確認することでモチベーションを維持し常に成長する
- 事業者の考えと合わなければ、資格をできるだけ取り条件のいい職場に転職をする
- 次の職場が決まってから退職は申し出る
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