介護保険は定期的に改正がされます。
いつ、何を、どうしたを覚えないと試験では正解を得られないと思います。介護保険制度の改正を解説します。
- 改正は、2005年、2011年、2014年、2017年、2020年
- 保険料の変更
- 予防給付
- 地域支援事業
- 医療と介護の連携
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービス(現・看護小規模多機能型居宅介護)の創設
- 介護職員等による喀痰吸引
- 認知症対策の推進
- 特別養護老人ホームの入所要件見直し
- 介護医療院の創設
- 自己負担割合の見直し
- データベースの活用
- 被保険者数の1.5倍以上の増加
- 要介護・要支援認定者数の2.5倍以上の増加
- 保険給付が3倍の急増
- 介護第1号保険料は2倍に増加
介護保険制度の改正
- 介護保険制度は何をみて改正するのか
- サービス提供体制の状況
- 社会経済の情勢
- 他の福祉施策
2005(平成17)年改正
- 軽度の要介護者の増加
- 給付費の急増
持続可能な制度を目指して
- 要介護状態への移行防止
- 重度化防止を図るシステムへの転換
2005年改正のポイント
①予防重視型システムへの転換
⇒予防給付・地域支援事業の創設
②施設給付の見直し
⇒居住費・食費の見直し、低所得者等への配慮
➂新しいサービス体系の確立
⇒地域密着型サービス・地域包括支援センターの創設など
➃サービスの質の確保
⇒介護サービス情報の公表、事業者・介護支援専門員の更新制度導入など
⑤負担のあり方・制度運営の見直し
⇒第1号被保険者の保険料の見直し、保険者機能の強化など
⑥予防給付の対象拡大
⇒要支援の区分を創設
2011(平成23)年改正
- 高齢者の増加を地域全体で支えないといけない
介護保険制度創設時の在宅介護を推し進め、地域包括ケアシステム作りを推進
- 地域包括支援センターと地域のサービス事業所の連携強化
- 在宅介護の推進に向けた24時間対応の新しいサービスなどの導入
- 医療と介護の連携強化
- 認知症対策の推進
2011年改正のポイント
①医療と介護の連携の強化等
⇒定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービス(現・看護小規模多機能型居宅介護)の創設など
②介護人材の確保とサービスの質の向上
⇒介護職員等による喀痰吸引の実施など
➂高齢者の住まいの整備等
⇒有料老人ホーム等の前払い金変換などの利用者保護規定、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進など
➃認知症対策の推進
⇒市町村における高齢者の権利擁護の推進、市町村介護保険事業計画に認知症施策を盛り込むなど
⑤保険者による主体的な取り組みの推進
⇒地域密着型サービスについて、公募・選考による指定を可能にするなど
2014(平成26)年改正
- 超高齢化社会での社会保障制度を維持していく
「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」の一環で改正
- 介護予防・在宅介護のさらなる推進
- 保険財源の確保
- 制度の継続的な運用
2014年改正ポイント
①予防給付の見直し
⇒介護予防訪問介護・介護予防通所介護を地域支援事業に移行、NPOやボランティア、民間などの多様なサービス提供主体を活用
②介護予防・日常生活支援総合事業の見直し
⇒2011年改正で創設された事業を大幅見直し。従来予防給付であった訪問介護と通所介護を組み込み、地域支援事業の1つとしてすべての市町村での実施を義務づけ
➂特別養護老人ホームの入所要件見直し
⇒新規入所者を原則、要介護3以上に限定
➃費用負担の公平化
⇒低所得者の保険料軽減の拡充、一定所得者の自己負担を2割に引き上げ
⑤小規模型の通所介護の地域密着型サービスへの移行
⑥市町村に地域ケア会議の設置努力義務の法定化
⑦居宅介護支援事業者の指定の市町村への委譲
2017(平成29)年改正
「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」で
地域包括ケアシステムの深化・推進
- 自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進
- 医療・介護の連携の推進等
- 地域共生社会の実現に向けた取組の推進等
- 介護保険制度の持続可能性の確保
2017年改正ポイント
①介護医療院の創設
⇒「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナル」等の機能と、「生活施設」としての機能とを兼ね備えた、新たな介護保険施設を創設
②共生型サービスの創設
⇒高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険制度と障害福祉制度に新たに共生型サービスを位置づけ(ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイが対象)
➂自己負担割合の見直し
⇒2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割に
➃総報酬割の導入
⇒第2号被保険者の保険料を、従来の加入者割から被用者保険期間では報酬額に比例した総報酬割に
2020(令和2)年改正
「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」
地域の特性におうじた 認知症対策や回サービス提供体制の整備等の推進等を図る
- 地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進
- 介護人材確保および業務効率化の取組の強化
- 医療・介護のデータ基盤の整備の推進
2020年改正ポイント
①国等の責務の見直し
⇒国および地方公共団体の努力義務として、地域共生社会の実現に資すること、認知症予防等に関する調査研究の推進および成果の普及等、認知症である者への支援体制を整備することを規定
②介護保険事業計画等の見直し
⇒市町村介護保険事業計画、都道府県介護保険事業計画の記載事項に、介護人材の確保・資質の向上や、その業務の効率化・質の向上に関する事項を追加
③データベースの活用
⇒市町村が地域支援事業を行うに当たっては、介護保険等関連情報そのた必要な情報を活用し、適切かつ有効に実施するように努めることを規定
介護保険の実施状況
①被保険者数の増加
第1号被保険者
2000年 2242万人 → 2018年 3525万人 1.5倍以上の増加
②要介護・要支援認定者数の増加
2000年 256万人 → 2018年 658万人 2.5倍以上の増加
③保険給付の急増
2000年 3兆2427億円 → 2018年 9兆6266億円 およそ3倍
④第1号保険料の増加
第1号被保険者保険料 市町村が3年を一期とする介護保険事業計画に基づき条例で定める
2000年~2002年 2911円(全国平均) → 2018年~2002年 5869円 およそ2倍
⑤介護サービス事業所・施設数の状況
訪問介護 3万4825事業所
通所介護 3万4825事業所
地域密着型通所介護 1万9858事業所
介護老人福祉施設 8234施設
介護老人保健施設 4337施設
介護療養型医療施設 833施設
介護医療院 245施設
まとめ
介護保険制度の当初の目的として在宅介護がありました。
在宅介護を推進して地域で支えることを国の方針として進めています。
地域で支えるために地域包括ケアセンターを整備しています。
また、高齢者化社会が進行して要介護・要支援者の認定者が増加したことで介護保険給付が増加して保険料が増加しています。
介護の需要が増加して介護を担う人材が不足しており介護事業所の人手不足が深刻になっています。
- 財源不足
- 人材不足
- 社会情勢の変化
- 地域包括ケアシステムの推進
- 行政サービスの効率化
- 介護度重度化の防止
- 介護業務の効率化
- 認知症対策の増加
課題を解消するために介護保険制度や介護保険事業計画を修正しています。
コメント