介護保険給付は、理念、給付の方法、審査・支払い、他の制度との兼ね合い、種類など理解しないと覚えにくい分野です。
理解しながら介護保険給付を解説します。
- 介護保険給付の理念は、介護予防、被保険者の尊重、サービス提供を平等に受けるです
- 被保険者は、自己負担金を事業者に支払う(例外がある)
- 償還払いのサービスがある
- サービス事業者へは国民健康保険団体連合会が支払う
- 被保険者の保険給付の自己負担額は、収入によって負担が違う
- 保険給付の種類は、介護給付、予防給付、市町村特別給付
- 特例サービス費とは
- 介護保険給付の優先度
- 第3者加害者がいる時の保険者が給付すべき範囲
- 不正に給付を受けた場合の罰則
保険給付の理念
介護保険法第2条
- 被保険者の要介護状態等に関し、必要な保険給付を行う
- 要介護状態・要支援状態の軽減・悪化防止に資するよう行う
- 医療との連携への十分な配慮
- 被保険者の選択に基づく適切なサービスの提供
- 多様な事業者、施設から総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行う
- 居宅における自立した日常生活を営むことができる内容および水準
保険給付の方法
被保険者は介護サービスを受けて費用を一旦すべて負担する償還払いをすることは原則ありません。
保険料の滞納をすると償還払いになることがあります。
被保険者の利便性を考えて保険給付を現物給付化しているのが法定代理受領方式というしくみです。
被保険者は、一部負担金をサービス料として介護事業者等に支払います。
- 指定事業者または指定施設からの指定サービスであること
- 居宅介護サービス計画費では、居宅介護支援を受けることをあらかじめ市町村に届け出ていること
- 居宅サービス費、地域密着型サービス費では、居宅サービス計画をあらかじめ市町村に届け出ており、そのサービスがサービス計画の対象であること、または、その居宅サービスを含んだ居宅サービスを含んだ居宅サービス計画を自ら作成し、市町村に届けでていること
- 福祉用具購入費
- 住宅改修費
- 高額介護サービス費
- 高額医療合算介護サービス費
審査・支払いのしくみ
サービス費は市町村から各サービス事業者に支払われる
⇒審査・支払いの事務は都道府県単位で設置する国民健康保険団体連合会(国保連)に委託する
保険給付の額
対象 | 保険給付の額 |
原則 | 9割(自己負担1割) |
160万円以上の所得 年金収入者では単身で280万円以上の収入 | 8割(自己負担2割) |
特に所得の高いもの | 7割(自己負担3割) |
居宅介護支援 介護予防支援 | 10割(自己負担なし) |
- 刑事施設、労役場などに拘禁された時 → 保険給付は行わない
- 恋の犯罪や重大な過失を犯した時 → 全部または一部の保険給付を行わない
- 正当な理由なしにサービス利用の指示に従わない → 全部または一部の保険給付を行わない
- 正当な理由なしに文書の提出を拒否 → 全部または一部の保険給付を行わない
- 職員の質問に答えない → 全部または一部の保険給付を行わない
保険給付の種類
対象 | 給付の種類 |
要介護者 | 介護給付 |
要支援者 | 予防給付 |
要介護状態・要支援状態の 悪化防止 | 市町村特別給付 |
市町村が、地域の実情等を踏まえ、介護給付・予防給付以外に独自に条例で定める保険給付。
移送サービス、配食サービス、寝具乾燥サービス
「横出しサービス」という
第1号被保険者の保険料が財源
介護給付の種類
給付の種類 | サービスの種類など |
居宅介護サービス費 (特例居宅介護サービス費) | 居宅サービス (特定福祉用具販売を除く) |
地域密着型介護サービス費 (特例地域密着型介護サービス費) | 地域密着型サービス |
居宅介護福祉用具購入費 | 特定福祉用具販売 |
居宅介護住宅改修費 | 住宅改修 |
居宅介護サービス計画費 (特例居宅介護サービス計画書) | 居宅介護支援 |
施設介護サービス費 (特例施設介護サービス費) | 施設サービス |
高額介護サービス費 高額医療合算介護サービス費 特定入所者介護サービス費 (特例特定入所者介護サービス費) | 利用者負担軽減の給付 |
予防給付の種類
給付の種類 | サービスの種類など |
介護予防サービス費 (特例介護予防サービス費) | 介護予防サービス (特定介護予防福祉用具購入を除く) |
地域密着型介護予防サービス費 (特例地域密着型介護予防サービス費) | 地域密着型介護予防サービス |
介護予防福祉用具購入費 | 特定介護予防福祉用具購入 |
介護予防住宅改修費 | 介護予防住宅改修 |
介護予防サービス計画費 (特例介護予防サービス計画費) | 介護予防支援 |
高額介護予防サービス費 高額医療合算介護予防サービス費 特定入所者介護予防サービス費 (特例特定入所者介護予防サービス費) | 利用者負担軽減の給付 |
特例サービス費
本来の支給要件を満たさない時、市町村が必要と認める場合に行う償還払いの給付
- 指定事業者以外の事業者からのサービス
- 要介護認定・要支援認定の申請前に受けたサービス
- 緊急やむを得ない場合に被保険者証を提示しないで受けたサービス
給付の調整
災害補償関係各法には、労働災害・公務災害に対する給付を行うもの(労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法など)、国家補償的給付を行うもの(戦傷病者特別援護法、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律)などがある。国家賠償的な意味合いが強いものは介護保険に優先する。
第三者行為と損害賠償請求権
要介護状態になった理由が、交通事故など第三者の行為による場合
被保険者が損害賠償を受けた時は、
市町村はその損害賠償の範囲内で、保険給付を行う責任を免れます。
保険給付をすでに行った時は、市町村は給付分を第三者に請求できます。
不正利得の請求
被保険者が偽りその他不正の行為によって保険給付受けた場合
⇒ 市町村は、被保険者から給付の全額または一部を徴収する
事業者が偽りその他の不正行為により代理受領方式で費用の支払いを受けた場合
⇒ 市町村は、返還額に4割加算した金額を支払わせることができる
まとめ
- 保険給付を誰にどうやって、何を、提供するのか
- どうやってサービス事業者は利用料を徴収するのか
- 被保険者は、どれくらいの自己負担をするのか
- 保険給付は、福祉用具販売、住宅改修などがある
- 介護給付は、要介護区分の方
- 介護予防は、要支援区分の方
長い言葉が並びますが、言葉の意味を捕らえて覚えていかないといけません。
コメント