2000年に介護保険制度がスタートしました。
2000年以前の介護制度と介護保険制度の移り変わりを解説します。
- 2000年以前の介護は、老人福祉制度・老人医療
- 2000年以前の介護制度は問題が多かった
- 介護保険制度は、高齢化社会を見据えて成立した
- 介護保険制度は、利便性や簡潔な制度で分かりやすい
- 介護保険制度は、被保険者であればサービスを受けやすい
2000年以前の介護
老人福祉制度・老人医療が2000年以前の介護でした。
老人福祉制度
①市町村がサービスの種類・提供機関を決定(措置制度)
⇒サービスの選択ができない
②所得調査等が必要
⇒利用にあたって心理的抵抗感がある
③市町村が直接あるいは委託によりサービスを提供
⇒サービス内容が画一的
④財源が租税
⇒高齢化の進展に伴う社会保障費の増大
⑤本人と扶養義務者の収入に応じた応能負担
⇒中高所得層には負担が大きい
老人医療
①市町村がサービスの種類・提供機関を決定(措置制度)
⇒サービスの選択ができない
②所得調査等が必要
⇒利用にあたって心理的抵抗感がある
③市町村が直接あるいは委託によりサービスを提供
⇒サービス内容が画一的
④財源が租税
⇒高齢化の進展に伴う社会保障費の増大
⑤本人と扶養義務者の収入に応じた応能負担
⇒中高所得層には負担が大きい
老人医療
福祉サービスの未整備、また、利用者負担が福祉サービスより低い
⇒介護を理由とする一般病院への長期入院(社会的入院)が発生し医療費が増加した
介護保険制度創設の背景
①要介護高齢者の増加
②女性の社会進出などによる家族機能の変化による社会の構造的変化
③複数ある高齢者関連制度の重複や不整合
介護保険制度の目的
①介護の社会化
高齢者介護を社会全体で取り組むことで、将来の介護不安の解消、介護をする家族等の負担軽減を図る。
②社会保険方式の導入
公費負担を組み入れた社会保険方式の導入により、給付と負担の関係を明確にする。
③利用者本位のサービス提供
利用者の選択により、多様なサービス提供事業者から、保健医療サービス、介護サービスを総合的・一体的に受けられる。
④社会的入院の解消
介護サービスの充実により、社会的入院を減らし、医療費を削減する。
社会保険方式の介護保険導入の意義
①安定的なサービス提供
⇒財源を保険料に依存することで、増大するニーズに対し安定的にサービスを供給できる。
②受益者が多い
⇒すべての人が、介護を必要とする状態あるいは介護を必要とする親を持つ可能性が相当程度あるため、受益者が多い。
③権利としてのサービス給付
⇒保険料を支払うことで、権利としてサービスの給付を受けることができるので心理的負担が少ない。
④負担と給付との対応関係がわかりやすい
⇒ニーズの増大に対しサービスの量的拡大や質的向上を図っていくことに、国の合意が得られやすい。
⑤サービスの選択の自由、供給者間の競争原理
⇒利用者はサービスの選択が可能になり、また、供給者間の競争を強めてサービスの量的拡大と質の向上が期待できる。
⑥すべての人のリスクカバー
⇒強制加入により、すべての人の要介護のリスクをカバーできる。リスクの高い人にも、負担を増やすことなくサービスの給付をすることができる。
まとめ
- 介護保険制度は、高齢者サービスを整備することで被保険者がスムーズにサービスを受けられ、また、家族の介護負担を軽減することが出来ます
- 選択の自由が拡大され供給者間の競争原理が働くことが期待されサービスの質向上も期待されています
- 介護保険制度の目的に高齢な親を持つ世代の介護負担軽減があり、費用負担として第2号被保険者40歳以上という理由が見えてきます
- 2000年から始まったばかりの介護保険制度ですが、供給者の増大や国費の負担増大などが懸念されます
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