居宅介護支援事業者は、主に要介護以上の利用者様に対応します。
事業所によっては30人ぐらいの利用者様を担当します。勉強や経験にはなるので私もいつかは、居宅で働いてみたいです。
居宅はどういうものか学習していきましょう。
- 居宅介護支援事業の基準
- 居宅介護支援サービス
居宅介護支援事業の基準
- 居宅介護支援は要介護者を対象とし、指定居宅介護支援事業者が実施する
- 事業の実施にあたっては、基準(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)を満たしていなければなりません。
- 基準は2018(平成30)年度から市町村が条例で定めていますが、厚生労働省令の基準に即している必要があります。
- 指定居宅介護支援事業者は、利用希望者の被保険者証に認定審査会意見の記載がある時は、その意見に配慮した指定居宅介護支援の提供に努めなければならない
基本方針
居宅における自立した日常生活への配慮 | 要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮して行われるものでなければならない |
利用者自身によるサービスの選択 | 利用者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、利用者の選択に基づき、適切な保健医療サービスおよび福祉サービスが他よな事業者から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われるものでなければならない |
公正中立 | 利用者の医師および人格を尊重し、常に利用者の立場に立って利用者に提供されるサービスが特定の種類または特定の居宅サービス事業者に不当に偏することのないよう公正中立に行われなければならない |
連携努力義務 | 市町村、地域包括支援センター、老人介護支援センター、他の指定居宅介護支援事業者、指定介護予防支援事業者、介護保険施設、障害者総合支援法に規定する指定特定相談支援事業者等との連携に努めなければならない |
人員基準
職種 | 要件など |
介護支援専門員 | 常勤で1人以上 利用者数が35を超えるごとに1人増(増員は非常勤可) |
管理 | 常勤。主任介護支援専門員でなければならない。原則は専従、ただし、その事業所の介護支援専門員としての職務に従事すること、また、管理が支障がない範囲で同一敷地内の他の事業所の職務に従事することは差し支えない |
- 2018(平成30)年度の介護報酬改定により、管理者は主任介護支援専門員であることが要件とされた
- ただし、2021(令和3)年3月末時点で主任介護支援専門員以外の介護支援専門員が管理者であり続ける場合には。、2027(令和9)年3月まで猶予される
運営基準
運営基準は、大きく分けてサービス利用に関する基準、利用料に関する基準、居宅サービス計画作成に関する基準、その他の基準に分けられます。
サービス利用に関する基準
- 内容および手続きの説明と同意 ⇒ サービス提供の開始に際し、利用申込者またはその家族に、運営既定の概要その他の重要事項を記した文書を交付して説明を行い、同意を得る
- サービス提供拒否の禁止 ⇒ 正当な理由なく、サービスの提供を拒んではいけない。なお、現員で応じきれない、申込者の居住地が事業実施区域外、他の事業者へ並行して依頼しているは正当な理由となる
- サービス提供困難時の対応 ⇒ 適切なサービスを提供できない場合、他の指定居宅介護支援事業者の紹介その他の必要な措置を講じなければなりません
- 利用者の受給資格等の確認 ⇒ サービス提供時に、利用申申込者の被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期間を確かめます
- 要介護認定の申請にかかる援助 ⇒ 被保険者が要介護認定の申請を行おうとする場合、必要な協力を行います
- 身分を証する書類の携行 ⇒ 介護支援専門員に身分を証する書類を携行させ、初回訪問時と利用者またはその家族から求められた時は提示するよう指導しなければならない
利用料に関する基準
- 利用料等の受領 ⇒ サービス提供時に利用者から支払いを受ける利用料と居宅介護サービス計画費の額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければなりません(償還払いで利用料を受け取る場合)。また、通常の事業実施地域以外の地域の居宅を訪問してサービスを提供する場合、交通費の支払いを受けることができる
- 保険給付の請求のための証明書の交付 ⇒ サービス利用料の支払いを受けた場合、利用料の額等を記載した指定居宅介護支援提供証明書を利用者に対して交付しなければならない
居宅サービス計画作成に関する基準
- 指定居宅介護支援の基本取扱方針 ⇒ 要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療サービスとの連携に十分配慮して行わなければなりません。また、事業者は、自ら提供する指定居宅介護支援んお質の評価を行い、常にその改善を図らなければなりません。
- 指定居宅介護支援の具体的取扱方針 ⇒ 基本方針と基本取扱方針に基づき、以下の➂~㉘が定められています。
- 介護支援専門員による居宅サービス計画の作成 ⇒ 事業所の管理者は、介護支援専門員に居宅サービス計画の作成に関する業務を担当させなければなりません。
- 指定居宅介護支援の基本的留意点 ⇒ サービスの提供にあたっては、懇切丁寧に行い、利用者・家族にサービスの提供方法等について、理解しやすいように説明しなければなりません。
- 継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用 ⇒ 自立した日常生活n支援を効果的に行うため、利用者の心身または家族の状況等に応じ、継続的かつ計画的にサービス等の利用が行われるように居宅サービス計画を作成しなければなりません。
- 総合的な居宅サービス計画の作成 ⇒ 日常生活全般を支援する観点から、介護給付等対象サービス以外の保健医療サービス、福祉サービス、当該地域の住民による自発的な活動によるサービスなどの利用も含めて居宅サービス計画上に位置づけるよう努めなければなりません。
- 利用者自身によるサービスの選択 ⇒ 利用できるサービス事業者等のサービスの内容、利用料等の情報を利用者に提供する。
- 課題分析の実施 ⇒ 利用者が現に抱える問題点を明らかにし、自立した日常生活を営むことができるように支援するうえで解決すべき課題を把握しなければなりません。
- 課題分析における留意点 ⇒ 課題分析にあたっては、利用者の居宅を訪問し利用者およびその家族に面接して行わなければなりません(入院中など物理的理由がある場合は、この限りではありません)。
- 居宅サービス計画原案の作成 ⇒ 上記8、9で把握された課題に対応するための最も適切なサービスの組合せについて検討し、以下の事項等を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければなりません。主な記載事項、利用者およびその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、解決すべき課題・サービスの目標と達成時期、サービスの種類・内容・利用料・サービス提供上の留意事項
- サービス担当者会議等による専門的意見の聴取 ⇒ サービス担当者会議を開催し、居宅サービス計画の原案の内容について、専門的な見地からの意見を求めます。やむを得ない理由がある場合は、担当者に対する照会等により意見を求めることができます。
- 居宅サービス計画の説明および同意 ⇒ 作成した居宅サービス計画の原案の内容について利用者またはその家族に説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。
- 居宅サービス計画の交付 ⇒ 居宅サービス計画を作成した際は、利用者および担当者に交付しなければならない。
- 担当者に対する個別サービス計画の提出依頼 ⇒ 居宅サービス計画に位置づけた事業者等に、個別さーびSう計画の提出を求めます。
- 居宅サービス計画の実施状況等の把握と評価等 ⇒ 居宅サービス計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行います。
- モニタリングの実施 ⇒ 実施状況の把握(モニタリング)にあたっては、少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接します。また、少なくとも1月に1回、モニタリングの結果を記録します。
- 居宅サービス計画の変更の必要性についてのサービス担当者会議等による専門的意見の聴取および居宅サービス計画の変更 ⇒ 次の場合に、サービス担当者会議を開催し、専門的意見を聴取して、必要に応じて居宅サービス計画を変更します。要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けた場合、要介護認定を受けている利用者が要介護状態区分の変更認定を受けた場合
- 介護保険施設への紹介その他便宜の供与 ⇒ 利用者が介護保険施設への入院または入所を希望する場合、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行います。
- 介護保険施設との連携 ⇒ 施設等から退院または退所しようとする要介護者が居宅における生活へ円滑に移行できるよう、あらかじめ、居宅サービス計画の作成等の援助を行います。
- 訪問介護の居宅サービス計画への位置づけ ⇒ 居宅サービス計画に厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護を位置づける時は、その利用の妥当性を検討し、必要な理由を居宅サービス計画に記載するとともに、当該居宅サービス計画を市町村に届け出なければなりません。
- 医療系サービスの居宅サービス計画への位置づけ ⇒ 利用者が医療サービスの利用を希望している場合などは、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければなりません。医療サービスについては主治医の指示が必要です。指示を確認し、その他サービスで主治医の留意事業がある場合は、これを尊重します。この場合、介護支援専門員は、作成した居宅サービス計画を主治医に交付しなければなりません。また、介護支援専門員は、指定居宅サービス事業者から情報を得た利用者の服薬状況、口腔機能などを、利用者の同意を得て主治医や歯科医師または薬剤師に提供します。
- 短期入所生活介護・短期入所療養介護の居宅サービス計画への位置づけ ⇒ 居宅サービス計画に短期入所生活介護または短期入所療養介護を位置づける場合、目安として、利用する日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにしなければなりません(機械的な運用は求めない)。
- 福祉用具貸与および特定福祉用具販売の居宅サービス計画への反映 ⇒ 居宅サービス計画に福祉用具貸与・特定福祉用具販売を位置づける場合、利用の妥当性を検討し、福祉用具が必要な理由を記載しなければなりません。また、必要に応じてサービス担当者会議を開催し、継続して福祉用具貸与を受ける必要がある場合にはその理由を記載しなければなりません。
- 認定審査会意見等の居宅サービス計画への反映 ⇒ 被保険者証に認定審査会意見またはサービスの種類についての記載がある場合、利用者にそのた趣旨を説明(変更申請ができることも説明)し、理解を得て、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければなりません。
- 指定介護予防支援事業者との連携 ⇒ 要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けた場合には、指定介護予防支援事業者と連携を図ります。
- 指定介護予防支援業務の受託に関する留意点 ⇒ 指定介護予防支援事業者から指定介護予防支援の業務の委託を受ける場合、居宅介護支援の業務が適正に実施できるよに配慮しなければなりません。
- 地域ケア会議への協力 ⇒ 地域ケア会議から、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力の求めがあった場合、協力するよう努めなければなりません。
- 法定代理受領サービスにかかる報告 ⇒ 計画で位置付けた法定代理受領サービスに関する情報を記載した文章(給付管理票)を、毎月市町村(または国民健康保険団体連合会)へ提出しなければなりません。特例居宅介護サービス費の支給の事務に必要な情報を記載した文書も提出します。
- 利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付 ⇒ 次の場合、利用者に対し、直近の居宅サービス計画およびその実施状況に関する書類を交付しなければなりません。利用者が他の居宅介護支援事業者の利用を希望する場合、要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けた場合、その他利用者からの申出があった場合
その他の基準
- 利用者に関する市町村への通知 ⇒ 次のいずれかに該当する場合、居宅介護支援事業者は遅滞なく、意見を付してその旨を市町村に通知しなければなりません。利用者が、正当な理由なしにサービス利用に関する指示に従わないこと等により、要介護状態の程度を増進させたと認められる時、偽りその他不正の行為によって保険給付の支給を受け、または受けようとした時。
- 管理者の責務 ⇒ 従業者および業務の一元的管理、運営基準の遵守のために必要な指揮命令を行います。
- 運営規定 ⇒ 事業所ごとに事業運営の重要事項に関する規定を定めます。
- 勤務体制の確保 ⇒ 事業所ごとに従業者の勤務体制を定め、サービスを提供する介護支援専門員の資質の向上のための研修の機会を確保しなければなりません。
- 従業者の健康管理 ⇒ 介護支援専門員の清潔の保持および健康状態について、必要な管理をしなければなりません。
- 広告 ⇒ 広告をする場合、虚偽、誇大なものであってはなりません。
- 苦情処理 ⇒ 苦情に対しては、適切に対応し、内容等を記録しなければなりません。
- 事故発生時の対応 ⇒ 事故が発生した場合、すみやかに市町村、利用者の家族等に連絡し、必要な措置をとらなければなりません。また、自己の状況と行った処置について記録しなければなりません。
- 記録の整備 ⇒ 上記に挙げた記録や、会計、利用者ごとの居宅介護支援台帳の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければなりません。
介護報酬
居宅介護支援に対する介護報酬は、要介護度別(要介護1・2、要介護3~5の2段階)に、1月あたりの単価が定められています。介護支援専門員1名あたりの利用者数が40未満である場合を基本とし、40を超えた場合、60を超えた場合にはそれぞれ単価が抑えられます。
2021(令和3)年度の介護報酬改定において、一定のICT(AIを含む)の活用または事務職員の配置を行っている事業者については、45を超えた場合に緩和されました。
おもな加算と減算
加算 | 算定要件など |
初回加算 | 新規にサービスを開始した場合 |
特定事業所加算 | 基準以上の人員配置、中重度利用者の割合などの一定要件を満たしている事業所の場合 |
通院時情報連携加算 | 利用者が医療機関で診察を受ける際に同席し、医師等と情報連携し、当該情報を踏まえてケアマネジメントを行った場合 |
入院時情報連携加算 | 利用者の入院時に病院等に利用者情報を提供した場合に、1人につき1月1回を限度に加算。提供方法は問わない |
退院・退所加算 | 病院・施設等からの退院・退所者に対して、病院等の職員と面談して利用者情報の提供を受け、居宅サービス計画を作成して必要な調整を行った場合 |
緊急時等居宅カンファレンス加算 | 病院等の求めに応じて医師等とともに利用者の居宅を訪問してカンファレンスを行い、必要に応じてサービス利用の調整を行った場合 |
ターミナルケアマネジメント加算 | 24時間連絡体制を確保している事業者が、在宅で死亡した末期悪性腫瘍の利用者に対し、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上、利用者またはその家族の同意を得て、利用者の居宅を訪問し、利用者の心身の状況等を記録して、その情報を主治の医師および居宅サービス事業者に提供した場合 |
減算としては、
条例において従うべき運営基準を守っていない場合の運営基準減算
6か月間に作成した居宅サービス計画に位置付けられたサービス提供の割合が同一の事業者(訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与が対象)によるものが80%を超えている場合の特定事業所集中加算がある
居宅介護支援サービス
居宅介護支援とは
居宅介護支援は、利用者の在宅生活を支援するものです。利用者やその家族の生活課題(生活ニーズ)と社会資源を結びつけ、自立を支援し、QOLを高めることがその目的となります。
課題分析
居宅介護支援は、ケアマネジメントの過程で行われます。まず、課題分析(アセスメント)で、利用者の有する能力や、置かれている環境等を評価し、生活課題を把握する必要があります。
課題分析にあたっては、厚生労働省より客観的な目安となる指針として、9項目の基本情報に関する項目と、14項目の課題分析(アセスメント)に関する項目の、合計23項目からなる課題分析標準項目が示されています。
課題分析標準項目
「基本情報に関する項目」
- 基本情報
- 生活状況
- 利用者の日保険者情報
- 現在利用しているサービス
- 障害高齢者の日常生活自立度
- 認知症である高齢者の日常生活自立度
- 主訴
- 認定情報
- 課題分析理由
「課題分析に関する項目」
- 健康状態
- ADL
- IADL
- 認知
- コミュニケーション能力
- 社会とのかかわり
- 排尿・排便
- 褥瘡・皮膚の問題
- 口腔衛生
- 食事摂取
- 問題行動
- 介護力(介護者の有無、介護負担、おもな介護者の情報など)
- 居住環境
- 特別な状況(虐待、ターミナルケアなど)
居宅サービス計画の作成・サービスの実施
課題分析で利用者の生活ニーズを把握したら、前述の居宅サービス計画作成に関する基準に基づき、介護支援専門員が居宅サービス計画原案の作成にかかります。
モニタリングの結果、利用者の生活ニーズに変化がみられたり、サービス担当者から生活ニーズに対応できていないなどの情報を得た場合は、再課題分析を行い、居宅サービス計画の変更・再作成を行います。
まとめ
- 居宅介護支援の仕事は、介護支援専門員の仕事と同じ
- 居宅介護支援の仕事は、調整役、居宅サービス計画の作成
- 居宅サービス計画を作成するために課題分析を行う
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