日本の社会保障と社会保険を解説します。
日本の社会保障と社会保険は制度が多く、整理しないと覚えにくいです。
日本の社会保障制度
大きく分けて社会保険、公的扶助、社会福祉に分けられます。
社会保険 | 医療保険 介護保険 年金保険 雇用保険 労働災害補償保険 |
公的扶助 | 生活保護制度 |
社会福祉 | 高齢者福祉 障害者福祉 児童福祉 社会手当 |
社会手当とは特定の条件を満たすグループに公費財源で支給される手当
⇨ 児童手当、特別児童扶養手当など
社会保険
社会保険とは保険者が被保険者から保険料を徴収し、給付対象となる保険事故に対して必要な保険給付を行う。
種類 | 給付対象・内容 |
医療保険 | 業務外の疾病、傷病等が給付対象。 |
介護保険 | 要介護状態、要支援状態が給付対象。 |
年金保険 | 老齢、障害、死亡が給付対象。 |
雇用保険 | 失業等が給付対象。 |
労働者災害補償保険 | 業務上の理由による疾病、傷病等が給付対象。 |
社会扶助
社会扶助とは、おもに公費を財源として、低所得者や障碍者等に対して、必要な支援を行う。
社会保険の分類
使用関係による分類
雇われているか雇われていないかの分類
被用者保険 | 会社員、公務員、船員が対象。 健康保険、厚生年金、雇用保険、労働者災害補償保険など |
自営業者保険 | 自営業者等が対象。 国民健康保険、国民年金 |
加入期間等による分類
長期保険は加入期間により給付が変化する。
短期保険 | 単年度または数年度において収支バランスを図る。 保険料の支払い期間と関係なく、給付を受けることができる。 介護保険、雇用保険、医療保険など |
長期保険 | 長期間にわかり収支のバランスを図る。 長く加入して保険料を払わないと給付を受けることができない。 厚生年金保険、国民年金保険など |
対象区域・領域による分類
職域とは会社員、公務員、船員などで分類される。
地域とは市町村が保険料を徴収し給付をする。
職域保険 | 被保険者となる者の住所は問わず、職場単位でとらえる保険。 | 健康保険、厚生年金、雇用保険、労働者災害補償保険、共済組合、船員保険など |
地域保険 | 被保険者となる者の居住地単位でとらえる保険。 | 国民健康保険、国民年金、介護保険、後期高齢者医療制度など |
医療保障制度
日本の医療制度は、社会保険方式で職域と地域で分けられている。
制度 | 保険者 | 被保険者 | |
職域保険 | 健康保険 | 全国健康保険協会 | 会社員等(中小企業) |
健康保険組合 | 会社員等(大企業) | ||
船員保険 | 全国健康保険協会 | 船員 | |
各種共済 | 国家公務員共済組合 | 国家公務員 | |
地方公務員共済組合 | 地方公務員 | ||
私立学校教職員共済 | 私立学校職員 | ||
地域保険 | 国民健康保険 | 都道府県と市町村が共同運営 | 自営業者等 |
国民健康保険組合 | 自営業者等(建設業、医師、弁護士など) | ||
後期高齢者医療制度 | 後期高齢者医療広域連合 | 75歳以上の者 |
健康保険
会社の従業員数により健康保険組合を設立することになります。例えば、大手家電メーカー、自動車メーカー、大手パンメーカーは独自に保険料を徴収し保険給付を行います。
健康保険組合以外の被保険者は国が管理する全国健康保険協会に属します。
船員保険
船員保険は職業の船員に適用されます。
各種共済
共済保険は職業によって分かれています。
国民健康保険
市町村が主に運営している国民健康保険は個人事業主やアルバイト、退職されて75歳以下の方が加入している保険
業界の方しか加入出来ない国民健康保険組合があります。
後期高齢者医療広域連合
75歳以上の方が加入します。保険証が75歳になると送られてきます。
まとめ
- 日本のセーフティーネットは充実していると思います
- 細かく制度が分かれて理解しにくい面もあります
- 医療保険と労働者災害補償保険の違いは、疾患が業務上なのか業務外なのかで給付内容は、ほとんど同じです
- 国民健康保険は自営業者と業界の国民健康保険組合があります
- 国民健康保険組合で多いのが建設業の保険証です
- 大工さんは昔から会社に属さず発注を受けたら仕事をするフリーランスが多いからなのか建設業の国民健康保険組合が存在します
- 医師は開業すると個人事業主となるために国民健康保険組合が存在します
- 小さいクリニックは国民健康保険組合の保険証が多いですが、大規模な病院は健康保険協会の保険証になっています
- 社会保険は多岐にわたるので、種類と内容を整理して覚える必要があります
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