認知症高齢者は、どこの施設でもいらっしゃると思います。
年齢を重ねれば脳に異常がでるのは当たり前のことで年齢が上がっていくにつれて認知症のリスクは上がっていくと思います。
これから増えていく認知症高齢者に対応することは重要です。
- 認知症の種類と特徴
- 認知症の治療
- 認知症のケア
- 認知症支援施策
認知症の種類・病態
認知症とは、脳や身体の疾患等によりこれまでに獲得した知的機能全般が持続的に低下し、日常生活または社会生活に相当の制限を受ける状態をいいます。
アルツハイマー型認知症
脳にβたんぱく質の異常蓄積(老人斑)が起こり、神経細胞が死滅、脳が萎縮することで生じます。認知症疾患のおよそ半数が、アルツハイマー型認知症で女性に多くみられます。
血管性認知症
血管性認知症とは、脳血管障害で引き起こされる認知症です。脳梗塞などを繰り返すことで徐々に進行します。男性に多くみられます。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳や末梢神経の神経細胞にレビー小体という物質が出現することで発症します。脳以外にも病変が及ぶことで認知機能だけでなく、便秘や立ちくらみなどの自律神経症状など多彩な症状がみられます。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉の萎縮により発症する認知症です。通常、40~60歳の初老期に発症し徐々に進行します。
若年性認知症
若年性認知症とは65歳未満の認知症です。原因疾患を問いません。認知症全体の1%程度を占めると言われています。
治療可能な認知症
認知機能低下などを生じる疾患のなかには、治療で改善できるものがあります。
疾患 | 概要 |
正常圧水頭症 | 脳でつくられる脳脊髄液の出口が詰まり、脳内にたまることで発症する。血管性認知症に似た認知機能低下、歩行障害、尿失禁が主症状。脳脊髄液を腹腔に流す手術で改善できる。 |
慢性硬膜下血種 | 頭部打撲による硬膜下の出血が徐々に増大し、血種となって脳を圧迫するために起こる。意識障害、認知機能低下、歩行障害などの症状が現れる。血種を除去することで認知機能のレベルが戻る。 |
甲状腺機能低下症、アルコールの長期摂取、ビタミンB12欠乏症なども認知症様の症状を呈することがありますが、治療により改善可能
軽度認知障害(MCI)
軽度認知障害(MCI)は健常と認知症の中間にあたる段階
- 記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
- 日常生活動作は正常
- 全般的認知機能は正常
- 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
- 認知症ではない
年間に約1割が認知症に移行します。ただし、ライフスタイルの改善等で、MCIの一部は健常に戻ります。
BPSD
認知症では、必ず生じる中核症状(記憶障害、見当識障害など)とBPSD(認知症の行動・心理症状)があります。BPSDは、以前は周辺症状とよばれていたもので、行動症状と心理症状があります。
BPSDをまねく原因
- 多剤併用
- 向精神薬などによる薬物の副作用
- 薬作用の増大
- 頻繁な声掛け
- 制止
- 軽視
- 脳の障害
- 生い立ちなどの個人因子
- 住環境などの環境因子
認知症の診断と治療
簡便な認知機能検査
⇒ 改訂長谷川子規簡易認知症審査スケール、MMSE(Mini-mental state examination)、MRIやCTなどの画像診断
認知症の治療
⇒ 薬物療法(進行を遅らせる、完治はしない)、非薬物療法(現実見当識訓練や回想法)
認知症ケア
認知症支援施策
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
認知症高齢者のさらなる増加が見込まれるなか、高齢労働省は、2012(平成24)年に「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)を策定して、認知症の早期診断・早期対応の重要性などについて指針を示しました。
そして、2015(平成27)年にはその改訂版として「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)を策定した。
項目 | 内容 |
基本的考え方 | 認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す |
7つの柱 | ①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進 ②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供(認知症ケアパスの作成など) ➂若年性認知症施策の強化 ➃認知症の人の介護者への支援(認知症の人や家族、地域住民、専門職などが集う認知症カフェの設置など) ⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進 ⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進 ⑦認知症の人やその家族の視点の重視 |
認知症施策推進大綱
2018(平成30)年12月には、認知症にかかわる諸問題について、各関係機関が連携し、政府一体となって総合的に対策を推進することを目的として認知症施策推進関係閣僚会議が設置され、翌2019(令和元)年6月に「新オレンジプラン」の後継となる「認知症施策推進大綱」が策定されました。
対象期間は、団塊の世代が75歳以上となる2025(令和7)年までとし、策定後3年をめどに施策の進捗を確認する。
地域におけるサポート体制
認知症の人を支えていくために、地域のさまざまな機関が連携して、切れ目のない支援を行っていくことが大切です。
地域包括支援センター
- 地域における横断的なネットワークの構築を担い、地域住民やボランティアなども含めた、見守り体制を整備するための支援を行う
- 認知症の人や家族にとっては相談機関としての役割も果たし、権利擁護業務なども行っています
認知症疾患医療センター
- 認知症疾患医療センターは、地域において認知症の人に必要な医療を提供していくための中核となる期間で、都道府県や政令指定都市によって指定された病院に設置されます
- 中核機関としては、医療(主治医・かかりつけ医やサポート医)と介護(地域包括支援センターや介護福祉職)双方の連携を深める役割を果たす
- 実際の業務は、認知症の診断、急性期の治療、専門的な医療相談
認知症初期集中支援チーム
- 認知症初期集中支援チームとは、認知症の早期診断・早期対応を図り初期段階から複数の専門職が関わり、訪問による状態の把握やアセスメントを行い、専門医療機関の紹介や家族支援を包括的・集中的(おおむね6か月)に行います
- 市町村によって地域包括支援センターやいりょ機関などに設置され、認知症疾患医療センターとの連携を図り、認知症の人と家族の自立した生活をサポートします
- チームのメンバーは、サポート医、保健師、看護師、作業療法士、介護福祉士などです
支援の対象は40歳以上で、自宅で生活している認知症の人や認知症が疑われる人で、医療サービス、介護サービスを受けていない人または、中断している人で以下のいずれかに該当する人
- 認知症疾患の臨床診断を受けていない人
- 継続的な医療サービスを受けていない人
- 適切な介護保険サービスに結びついていない人
- 診断されたが介護サービスが中断している人
医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している。
認知症地域支援推進員
認知症地域支援推進員は、認知症の人や家族への相談支援、サービスのコーディネート、連絡調整などを行う。
保健師、看護師、作業療法士、介護福祉士などが担い、認知症初期集中支援チームとの連携を図ります。
認知症カフェ
認知症の人やその家族、専門職、地域住民などの集う場として設けられ、認知症の理解の推進や相互交流、情報交換などを目的とするもので、市町村が運営します。
認知症地域支援推進員などが企画して、地域の実情に応じて実施します。
認知症サポーター
認知症サポーターは、認知症を正しく理解して認知症の人とその家族を見守り支援する民間のサポーターです。
全国キャラバン・メイト連絡協議会が、自治体や全国規模の企業・団体と協働して養成講座を開いています。
認知症サポーター養成講座の講師を務めるキャラバン・メイトもまた、全国キャラバン・メイト連絡協議会などが養成研修を実施しています。受講対象者には、家族の会の会員、民生委員なども含まれます。
2021(令和3)年度の介護報酬改定において、介護サービス事業者に医療・福祉関連の資格を有さない介護職員に対して、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務づけられました(無資格者がいない訪問系サービス〈訪問入浴介護を除く〉、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く。3年間の経過措置)。
まとめ
- 体は、健康ですが認知症の症状で本人や家族が苦しむのが認知症です
- どうしても、長く生きると脳の老化が深刻になり認知症の症状はでてきしまいます
- 高齢ではなく若くして認知症の症状がある方は、疾患が原因であることが多いです
- 突発的にでる認知症には若年性認知症があります
- 認知症にはいろいろな原因と症状があります
- ユマニチュードなどのケアによって興奮を抑え心安らかに生活していただくことができます
- 認知症であっても、それぞれ個人差があり対応が変わってきます
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