精神障害のある場合の介護(34)【ケアマネ試験に対応】

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精神障害にも軽度から重度があります。軽度の精神疾患であれば在宅や施設での生活ができます。

精神障害のある方に対応するためには、知識が必要です。

  • 高齢者に多い精神障害
  • 高齢者以外でもある精神障害
  • 精神障害のある高齢者の介護

高齢者の精神疾患の特徴

高齢者の精神疾患は、成人とは異なる特徴があります。

高齢者の精神疾患の特徴

高齢者に多い精神障害

老年期うつ病

うつ病は、精神的なエネルギーが低下し、憂鬱管、悲哀感が高まり、全身倦怠感が生じて自発性がなくなる疾患です。

老年期うつびょうの特徴
  • 心気的な訴えが多い
  • めまい
  • しびれ
  • 便秘
  • 自立神経症状が目立ち、気分の落ち込みよりも、不安や緊張、焦燥が前面に出る
  • 症状が長引き治りにくい
  • 一部は認知症に移行することがある
  • 悪化すると、罪業妄想(自分を責める内容の妄想)、貧困妄想、自死を図ることもある
老年期うつ病
  • ホルモンや新駅伝達物質の異常
  • 脳の血流障害
  • 喪失体験
  • 身体疾患
  • 孤独
老年期うつ病の治療

薬物療法を主とし、必要に応じて精神療法、環境調整

統合失調症

統合失調症は原因が明らかになっていない精神疾患で、幻覚や妄想、激裂思考などの陽性症状と、感情鈍麻や自閉、無気力などの陰性症状があります。

陽性症状とは、「本来はないものがあるように感じる(幻覚など)」症状

陰性症状とは、「本来はあるもの(感情や気力など)がなくなってしまう」症状

統合失調症の特徴
  • 若年での発症が多い
  • 40歳以上での発症はまれ
  • 若年に発症して軽快し、近親者の死や生活環境の変化で高齢で再発することがある
統合失調症の治療

向精神薬による薬物療法、精神療法、作業療法、社会生活技能訓練(SST)

妄想性障害

老年期では、妄想中心の精神障害がよく発症する傾向があります。

妄想のテーマが現実生活を反映した限定的なものが多く、妄想の対象も身近な人間であることが多いのが特徴です。

妄想以外には日常生活に大きな破綻をきたすことが少なく、目につくような異常もありません。

理科と共感、あたたかな人間関係の構築などが薬物療法よりも効果的なことがよくあります。

アルコール関連障害

アルコール関連障害とは、アルコール飲用で引き起こされる身体的・精神的・社会的障害をいいます。

代表的なものは、アルコール依存症です。

アルコール関連障害の原因
  • 高齢者は、身体機能の低下などのために若年者に比べて酔いやすく身体症状がでやすくなり、アルコール依存症になりやすい傾向
  • 若年発症型のアルコール依存症では、家族歴や遺伝的要因を有することがおおいです。
  • 老年発症型のアルコール依存症では、退職や近親者との死別などによる社会的孤立や喪失体験などの環境変化による発症が多くみられる
アルコール依存症の特徴
  • 離脱症状は長く続く
  • 離脱症状とは、体内のアルコール濃度低下で出現する自律神経症状(手のふるえ、発汗、吐き気、嘔吐など)
  • 認知症やうつ病などの身体合併症を発生しやすい
アルコール依存症の治療
  • 離脱症状の治療(離脱症状)、その後に依存治療という2段階に分けて行う
  • 身体合併症が増悪することが多いので、入院して解毒を行う
  • アルコール依存症リハビリテーションプログラム(ARP)などを用いて、教育を通して病識を得るようにしてアルコールのない生活をイメージできるようにする

せん妄

せん妄とは、夜間に多く起こり、意識混濁や幻覚(幻視が多い)、それらに基づいく妄想や興奮などの症状がでる。意識障害の1つで活動性が低下して、認知機能や見当識が低下する症状がみられることもあり、しばしば認知症と混同される。

せん妄の原因

薬剤の影響であることが一番多く、脳疾患、全身疾患、脱水や不眠、環境変化なども原因

せん妄の治療
  • 時間とともに症状は変わり、通常は3日から1週間程度で症状は消失
  • 原因となる薬剤等の除去、疾患の治療
  • 夜間にせん妄が増悪する場合には、昼間に適度な刺激と散歩などの活動の機会をつくり、夜間に睡眠できるよう配慮する

精神に障害のある高齢者の介護

  • 精神に障害のある高齢者の介護も基本は通常の高齢者の介護と同じ
  • 精神疾患のある人は、それまでの生活体験のなかで偏見や差別にあった可能性があり関係性を築くのは難しい
  • 自尊心の傷つきもあるので個別的な配慮が必要
  • 服薬している場合、薬の影響でふらつき、めまい、便秘の副作用があり転倒防止に注意
  • 押しつけにならない、本人に心地よい体験となるような支援を心がける必要がある

精神疾患がある場合の留意点

精神疾患留意点
うつ病自分で何かすることを勧めたり励ましたりすることは避け、自尊心を傷つけない配慮をしながら日常生活を支援する。
病気の初期や回復期の自殺企図に注意する
統合失調症こだわりや妄想症状などの言動を制止すると興奮することがあるので、安全を最優先としてかかわる。安心感を届ける工夫をする
アルコール依存症身体疾患の治療を勧め、環境調整で飲酒機会を避けるようにする
断酒会やAAなどの自助グループへの参加継続を支援する
飲酒時のかかわりなどは避ける
精神疾患がある場合の留意点
AA

Alcoholics Anoymouseの略称 アルコーホーリクス・アノニマス

匿名のアルコール依存症者の会などと訳されるアルコール依存症者の自助グループ

まとめ

  • 高齢者の精神障害は珍しくありません
  • うつ病のように意欲低下があります
  • 統合失調症は生活が成り立たなくなり施設に入所します
  • アルコール依存症の高齢者は生活ができなくなってしまい経済力がないと生活保護になることがあります
  • せん妄は、精神病薬でなることもあり幻覚によりベッドの柵などで自傷されていることがあり注意が必要です

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