介護で知っておくべきリハビリテーション(35)【ケアマネ試験に対応】

資格取得

介護において自立していくのが目標です。そのためにはリハビリテーションを実施していかなくてはいけません。

  • リハビリテーションの種類
  • リハビリテーションを実施する専門職
  • 高齢者の何に対してリハビリテーションをするのか
  • 生活の中でのリハビリテーション

リハビリテーションの定義

リハビリテーションとは、「再び能力を回復させる」という意味をもち、何らかの障害を受けた人が、人間としての権利・名誉・尊厳を取り戻し、障害を受容して新しい生き方を築くという意味を含む。

リハビリテーションの目的は、治療に限定されません。心身機能の維持、悪化防止、環境調整など、リハビリテーションの範囲は広いものです。様々な障害のある人に対して、人間として本来あるべき姿に回復する全人間的復権へのアプローチです。

定義内容
WHOの定義
(1981年)
・リハビリテーションは、能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる
・リハビリテーションは、障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促すために、全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする
国連の障害者
世界行動計画の定義
(1982年)
・リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的にもっとも適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し、かつ時間を限定したプロセスである
厚生白書
(1981年)
・リハビリテーションとは、障害者が一人の人間として、その障害にもかかわらず人間らしく生きることができるようにするための技術および社会的、政策的対応の総合的体系であり、単に運動障害の機能回復訓練の部分だけをいうのではない
日本リハビリテーション病院・施設協会
(1990年)
・地域リハビリテーションとは、障害のある人々や高齢者およびその家族が住み慣れたことろで、そこに住む人々とともに、一生安全に生き生きとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉および生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行う活動のすべてをいう
リハビリテーションの定義

リハビリテーションの分類

予防的リハビリテーション

障害を予防し、要介護状態になることを防ぐ目的で実施されるリハビリテーションです。

地域支援事業で実施される介護予防・日常生活支援総合事業などが予防的リハビリテーションといえます。

治療的リハビリテーション

障害が発生した時、最大限の機能回復を目指す目的で実施されるリハビリテーションです。発生時期により急性期と回復期に分けられます。

急性期
  • 疾病等が発症した直後から実施するリハビリテーションで、廃用症候群の予防や早期の身体機能の改善を目的とします
  • リクス管理に重点を置く
  • 急性期治療と並行して実施
  • 体位変換
  • 関節可動域訓練
  • 寝返りや起き上がり
  • 嚥下訓練
  • 排泄の自立などへ移行
体位変換

自力で体位を変えることができない人に対して、同一部位へ体圧がかかるのを防ぎ、呼吸機能の抑制などを防止するために、他動的に体位を変えること

関節可動域訓練

障害等で関節の動く範囲が制限されている人に対して、その範囲を広げるために行う運動療法など

回復期
  • 急性期を過ぎ、身体機能の回復がみられる時期に実施するリハビリテーションで
  • 障害の回復・改善、残存機能の強化などにより、ADL(日常生活動作)の向上と早期の社会復帰を目指す

維持的リハビリテーション

治療的リハビリテーションにより得られた機能をできるだけ長く維持することを目的として実施される。訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションなどを長期的に活用し障害の悪化、機能の低下を防ぎます。

リハビリテーションの専門職

リハビリテーションは、通常は医師を中心とした様々な専門職によるチームで実施されます。

職種職務内容
理学療法士(PT)医師の指示の下、身体に障害のある患者に運動療法や物理療法(電気刺激、マッサージ等)を行い、基本的動作能力の回復を図る
作業療法士(OT)医師の指示の下、身体または精神に障害のある患者に手芸などの作業を行わせることで、応用的動作能力、社会的適応能力の回復を図る
言語聴覚士(ST)医師の指示の下、言語機能や聴覚機能、また摂食・嚥下機能に障害のある患者に、機能維持の訓練と必要な検査などを行う
義肢装具士(PO)医師の指示の下、身体に欠損や障害のある患者に、義肢・装具等の装着部位の採型、義肢等の制作、身体への適合を行う
リハビリテーションの専門職

看護職やソーシャルワーカー、介護支援専門員などが参加し、利用者の現状とリハビリテーションの方針の確認、評価などを行う。

高齢者のリハビリテーションの実際

次にあげるような症状や障害に対しての配慮が重要です。

廃用症候群のリハビリテーション

  • 何より予防が重要
  • 急性期には、可能な限り早期にリハビリテーションを実施
  • ベッド上だけでリハビリテーションを終わらせず、食事や排泄など場所を分けるようにする
  • 維持期には、体調や日常生活の変化を見逃さず、レクレーション活動などにより、閉じこもりの防止や活動性の向上を図る

運動麻痺のリハビリテーション

  • 麻痺の程度や分布、回復の見通しなどの情報を医師などから入手し把握しておくことが重要
  • 麻痺の回復にこだわらず、現実的な日常生活能力の獲得を目指す

歩行障害のリハビリテーション

  • 訓練
  • 装具や杖の活用
  • 安全な歩行の確立
  • 持久力の向上など
  • 支援にあたっては転倒防止に努め、室内の環境整備に配慮します

失認(半側空間無視)のリハビリテーション

  • 半側空間無視とは、脳の障害により空間の片側が認識されなくなる状態
  • 左片麻痺に伴う左半側空間無視が多くみられる
  • 本人に半側空間無視の自覚はない
  • 具体的に見落とす側を司式した声かけをしながら無視側への注意を向けるリハビリテーションを実施

生活のなかでのリハビリテーション

在宅の要介護高齢者は、本人の残存機能レベルに合わせた無理のない、かつ効果的なリハビリテーションを生活の中で継続していくことが重要です。

機能レベルの判定基準となる指標に、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準があり要介護認定の際にも用いらるものです。

分類ランク判定基準
生活自立ランクJ何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
J1:交通機関を利用して外出する
J2:隣近所へなら外出する
準寝たきりランクA屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない
A1:介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
A2:外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている
寝たきりランクB屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
B1:車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
B2:介助により車椅子に移乗する
ランクC1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する
C1:自力で寝返りをうつ
C2:自力では寝返りをうたない
障害高齢者の日所言う生活自立度(寝たきり度)判定基準
日常生活自立度別のリハビリテーションのポイント
  • ランクJ
    歩行能力や体力の維持・向上・活動性を保つ

    散歩やラジオ体操の習慣化

    フィットネスジムに通う

    趣味サークル

    老人会

    旅行への参加

  • ランクA1
    自立度レベルを落とさない

    生活環境の整備

    生活のリズムづくり

    外出機会の確保

    生きがづくり

  • ランクA2
    機能低下の予防

    日中の離床時間を増やす

    外出機会を増やす

    筋力の維持・向上のための運動継続

  • ランクB1
    残存能力の維持、屋内歩行レベルを目指す

    ベッド周りの環境整備

    下肢筋力の訓練

    段階的歩行訓練

    社会的活動性の向上など

  • ランクB2
    寝返り、起き上がり、座位保持能力の維持・向上

    ベッド周りの環境整備

    介護者への介護方法の指導

    介護負担軽減のための対応

  • ランクC
    寝たきり

    健康状態の維持

    肺炎などの合併症の予防

    精神的賦活

    関節拘縮・変形の悪化予防

    介護環境の整備と介護量の軽減

    介護者への支援

    社会資源の的確な活用など

まとめ

  • 施設の高齢者に多い既往歴は、脳卒中、パーキンソン病、パーキンソン症候群、認知症の方です
  • ADLの低下で在宅での生活ができないため施設に入居されています
  • 骨折後にADLが低下し施設に入居される方もいらっしゃります
  • 介護のリハビリテーションはADLの維持向上です
  • 高齢者は加齢によって体の機能は低下するので機能を維持することが大事です

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