要介護認定がどのように決まるのか
ケアマネージャーだけでなく介護にかかわる人は気になると思います。
気になる要介護認定を解説します。
- 要介護状態・要支援状態とは
- 要介護認定の流れとは
- 要介護認定の申請はだれがどうする
- 認定調査員
- 要介護認定基準とは
- 要介護認定等基準時間とは
- 一次判定と二次判定
- 主治医意見書とは
- 介護認定審査会とは
要介護・要支援状態
保険給付を受けるには、あらかじめ居住地の市町村(保険者)から、要介護・要支援に該当するという認定を受けなければならない
要介護・要支援認定の流れ
認定調査
認定調査員 → 市町村職員(福祉事務所のケースワーカーや市町村保健センターの保健師など)
新規認定の調査
⇒原則は市町村、例外として指定市町村事務受託法人へ委託(都道府県知事が指定)
更新認定にかかる調査
⇒指定市町村事務受託法人、指定居宅介護支援事業者、地域密着型介護老人福祉施設、介護保険施設、介護保険施設、地域包括支援センター、介護支援専門員に委託
遠隔地に居住する被保険者から認定の申請があった場合は、現に居住する市町村に調査を嘱託することができる(住所地特例)
項目 | 個別調査項目 |
身体機能・起居動作 | 麻痺等の有無、拘縮の有無、寝返り、起き上がり、座位保持、両足での立位保持、歩行、 立ち上がり、片足での立位保持、洗身、爪切り、視力、聴力 |
生活機能 | 移乗、移動、嚥下、食事摂取、排尿、排便、口腔清潔、洗髪、整髪、上衣の着脱、 ズボン等の着脱、外出頻度 |
認知機能 | 意思の伝達、日課の理解、生年月日や年齢を言う、短期記憶、自分の名前を言う、 いまの季節の理解、場所の理解、徘徊、外出して戻れない |
精神・行動障害 | 被害的、作話、感情不安定、昼夜逆転、しつこく同じ話をする、大声、介護抵抗、 落ち着きがない、一人で出たがる、収集等、独り言・独り笑い、自分勝手な行動、 会話不能 |
社会生活への適応 | 薬の内服、金銭管理、日常の意思決定、集団への不適応、買い物、簡単な調理 |
特別な医療 | 過去14日間に受けた特別な医療 |
日常生活自立度 | 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)、認知症高齢者の日常生活自立度 |
要介護認定基準
要介護・要支援認定は、厚生労働大臣が定める全国一律の基準で行われる。
介助等にかかわる5分野の行為の要介護認定等基準時間により、要介護・要支援状態の区分判定する。
分野 | 行為 |
直接生活介助 | 食事、排泄、移動、清潔保持 |
解説生活介助 | 洗濯、掃除等の家事援助等 |
認知症の行動・心理症状関連行為 | 徘徊の探索、不潔行為の後始末等 |
機能訓練関連行為 | 歩行訓練、日常生活訓練等 |
医療関連行為 | 輸液管理、褥瘡処置等の診療の補助等 |
区分 | 要介護認定等基準時間 |
要支援1 | 介助等にかかわる5分野の要介護認定等基準時間が25分以上32分未満またはこれに相当する状態 |
要支援2 | 32分以上50分未満またはこれに相当する状態(要支援2か要介護1かは自立度等で判定) |
要介護1 | 32分以上50分未満またはこれに相当する状態(要支援2か要介護1かは自立度等で判定) |
要介護2 | 50分以上70分未満またはこれに相当する状態 |
要介護3 | 70分以上90分未満またはこれに相当する状態 |
要介護4 | 90分以上110分未満またはこれに相当する状態 |
要介護5 | 110分以上またはこれに相当する状態 |
一次判定・二次判定・介護認定審査会
一次判定
認定調査で得た結果から、コンピュータにより要介護認定等基準時間が算出されます。
また、市町村は認定調査とあわせて申請者の主治医に意見を求めます。
主治医がいない場合、申請者は市町村の指定した医師あるいは市町村職員の医師の診断を受けます。
二次判定
一次判定結果と主治医意見書に記載された主治医の意見、認定調査の基本調査・特記事項を原案として、市町村に設置された介護認定審査会による二次判定がなされる。
二次判定では、判定作業の前に基本調査内容の確認が行われます。認定調査と特記事項、主治医意見書の内容の矛盾の有無の確認が行われ、内容に矛盾があった場合、再調査あるいは主治医等に確認をとって調査結果の一部修正を行います。
介護認定審査会では、
- 要介護状態に該当するか
- 要介護状態に該当する場合、該当する要介護状態区分はどれか
- 第2号被保険者の場合、要介護状態の原因が特定疾病に該当するか
- 必要があると認められる場合、被保険者、家族、主治医の意見を聴取することができる
事項 | 主な内容 |
基本情報 | 申請者名、日時、医師名など |
傷病に関する意見 | 診断名、症状の安定性、傷病または特定疾病の治療内容 |
特別な医療 | 過去14日間に受けた医療 |
心身の状態に関する意見 | 日常生活自立度 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度) 認知高齢者の日常生活自立度 認知症の中核症状(短期記憶、日常意思決定を行う認知能力、意思伝達能力) 認知症の行動・心理症状(BPSD) 精神・神経症状の有無、専門医受診の有無 身体の状態 |
生活機能とサービスに関する意見 | 移動 栄養・食生活 現在あるまたは、今後発生の可能性の高い状態と対処方針 サービス利用による生活機能の維持・改善の見通し 医学的管理の必要性 サービス提供時の医学的観点からの留意事項 感染症の有無 |
特記すべき事項 | 個別案件 |
介護認定審査会
市町村の付属機関
委員構成:要介護者等の保健・医療・福祉に関する学識経験者
委員の任命:市町村が任命
委員の期間:2年
委員の定数:政令で定める基準に従い、市町村条例で定める
判定の仕方:合議体
委員以外:審査対象の主治医や家族
委員の義務:認定審査に関して知り得た個人の情報に関しての守秘義務
介護認定審査会は、複数の市町村で共同設置することができる。
まとめ
- 申請をして認定調査が入り、コンピュータの一次判定があり介護認定審査会による二次判定があり必要があれば被保険者、家族、主治医に意見を求めます
- 介護認定が決定し被保険者に通知される
- 一次判定で要介護認定等基準時間が算出され、二次判定の介護認定審査会の委員により要介護度が決定されます
- 要介護認定の流れを理解すると暗記しやすいです
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