高齢者が施設入所を考えた時の介護施設の選び方を現役ケアマネが解説

介護の選び方

現役ケアマネージャーの「おあしす」です。

高齢者は、入院をきっかけに体力低下が起こったり認知症によって一人暮らしができなくなります。

一人暮らしや家族との同居ができないほどに介護が必要になったら施設入所を考えなくてはいけません。

介護施設の種類は次の通りです。

  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 軽費老人ホーム
  • 介護付き有料老人ホーム
  • グループホーム
  • 養護老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

9種類の介護施設があるとどこに入れば分からなくなります。

まず、費用面を考えますがどんな施設が適切かも考慮しないと転居するはめになり余計な出費が出ることになります。

介護施設の選び方にお悩みの方に介護施設選びの考え方を解説していきます。

一人で暮らせない理由

施設は、できるだけ入所したくないものです。しかし、施設入所をしないといけない理由があると思います。

自分だけでは生活ができないくらいに体が動かない

体が動かない理由

  • 脳卒中などで片麻痺
  • パーキンソン病や水痘症で歩行困難
  • 長期の入院による筋力低下
  • 脊髄損傷による足の麻痺

体が動かずできないこと

  • トイレに行けない
  • 入浴ができない
  • 掃除ができない
  • 調理ができない
  • 買い物ができない
  • 外出ができない
  • 顔を洗えない、髭を剃れない、歯磨きができない等

生活に必要なことができないと一人暮らしはできません。

特に、トイレに行けないとトイレの失敗で汚した後の掃除もできず衛生状態が保てません。

ただし、片麻痺やパーキンソン病、水痘症があっても生活に必要な動作ができれば一人暮らしをすることができます(体力低下や病状の進行で生活動作はできなくなります)。

認知症の進行で物忘れがひどい、自宅に戻ることができない

施設入所の理由で増加しているのが認知症です。

認知症の進行で起きること

  • トイレの位置が分からずトイレ以外で排泄してしまう
  • 火を使っていることを忘れてしまう
  • 物がどこにあるか分からず物を散乱させてしまう
  • 片付け方が分からず部屋を掃除することができない
  • 自宅が分からず、徘徊してしまう
  • 幻覚・幻聴があり、用事がないのに自宅周りを散歩する
  • 物をどこにしまったかを忘れてしまい人に取られたと勘違いする
  • トイレを汚しても掃除の仕方が分からず汚したままにする

体は元気なのですが、思考力低下や短期記憶低下で今までできたことができなくなります。

徘徊や火の不始末は命に関わることですし、同居している家族の介護負担が大きくなり施設入所が多いです。

家族が遠方、独り身で老後が不安

持病が重いわけでもなく、生活もできているが家族が遠方であったり、独り身だと老後が不安で施設に入所される方がいます。

動けなくなってから施設を探したり、転居することはできないので75歳以上になると施設入所をされたりします。

理由別の施設選び

施設入所の理由や個人の状況によって施設が入所者に合わないことがあります。介護施設は、入所目的により細分化されています。どういう理由で入所を希望したかを考えて施設は選ぶべきです。そうしなければ、施設を転居するか我慢し住み続けることになります。

介護中心の施設

できないことが多く、要介護3以上の方は介護サービスや医療サービスの充実しているこれらの施設がおすすめです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 介護医療院

認知症対応の施設

体は元気で認知症状がある方は、グループホームをおすすめしています。

グループホームでは、認知症の進行を遅らせるレクレーションやリハビリテーションをしてくれます。

また、認知症の方の尊厳を傷つけずに対応する職員がいるので気持ち良く生活ができます。

その他に、認知症の方を受けいれている施設として

  • 介護付き有料老人
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護医療院

軽度の認知症であれば

  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅

軽度の認知症は、足の骨折等で長期入院をすると認知症が進行してしまい軽度の認知症のみ対応する施設では合わなくなり重度の認知症に対応した施設に転居することになります。

生活に困っていないが、老後が心配な方の施設

なんとか一人暮らしはできるが、近くに身寄りがいない方は、次の施設をおすすめします。

  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 軽費老人ホーム

管理人や職員が常駐しており安否確認や相談にのってくれます。介護サービスはプランによって受ける、受けないが選べます。入居する際は、どんなサービスが受けられるか確認した上で入居しましょう。

条件があり長期入所ができない施設

入所するための条件はすべての施設でありますが、養護老人ホームは自立した生活困難者が条件になっています。

また、養護老人ホームと老人保健施設は一人暮らしできるようになると退所しなければいけません。

老人保健施設は、一人暮らしや自宅で家族と生活できるようにリハビリテーションや医療サービスを受けられる施設で一人暮らしできると判定されると退所することになります。

老人保健施設は3ヶ月で退所の判定をします。

老人保健施設を行ったり来たりすることはありますが、原則は長く住める施設ではありません。なぜなら施設が、自立を目標とした施設だからです。

「終のすみか」の施設として、養護老人ホームと老人保健施設は除外されます。

施設の費用、入所条件、特徴を比較

施設の種類で費用は変わってきます。また、同じ種類でも費用が変わってきます。「終のすみか」として施設を選ぶ時に費用は重要な要素です。まずは、施設の種類ごとの費用や入所条件、特徴について解説します。

種類入居一時金月額費用入所条件特徴
住宅型有料老人ホーム0〜数千万円10〜30万円60歳以上又は介護が必要施設は安否確認や食事の用意、軽度の介護を行います。デイサービスや訪問介護の介護サービスを施設内外の事業者から受けることで生活をしていきます。
比較的軽度の方で自由度の高い施設です。費用はピンキリで施設の立地や内装、部屋の質によって費用は変動します。少ない費用で済む施設もたくさんあります。
サービス付き高齢者向け住宅0〜数百万円9〜30万円60歳以上又は60歳未満で介護認定を受けている施設は安否確認や食事の用意、軽度の介護を行います。デイサービスや訪問介護の介護サービスを施設内外の事業者から受けることで生活をしていきます。
比較的軽度の方で自由度の高い施設です。ほとんどの方が自立して生活することができます。費用はピンキリで施設の立地や内装、部屋の質によって費用は変動します。少ない費用で済む施設もたくさんあります。
軽費老人ホーム数十万円〜数百万円6〜20万円A・B型:60歳以上で月収34万円以下
C型:65歳以上で要介護1〜2
A・B型は、自立している方が対象です。自宅でも生活できますが、何かあった時のために入所されます。介護サービスはありません。自炊等も可能です。
C型は介護がなければ生活できない方が対象です。
費用はピンキリで施設の立地や内装、部屋の質によって費用は変動します。少ない費用で済む施設もたくさんあります。
介護付き有料老人ホーム0〜数百万円13〜30万円要介護1以上介護サービスを施設内で行う有料老人ホームです。施設職員がリハビリテーション、レクレーション、入浴、食事等のサービスを提供します。特別な有料サービスを利用されない限り追加の費用がありません。費用はピンキリで施設の立地や内装、部屋の質によって費用は変動します。少ない費用で済む施設もたくさんあります。
グループホーム0〜数百万円13〜15万円原則65歳以上
要支援2以上
認知症の診断を受けている
認知症対応型の施設です。レクレーションやリハビリテーションが、認知症の進行を遅らせる内容になっています。施設独自で家庭菜園をしたり、手芸をしたり入所者の尊厳を保ちながら対応します。食事の調理も入所者と協力してすることで体と頭を動かして認知症の進行を遅らせるようにしています。施設内で介護サービスを行うので外部の介護サービスは利用できません。費用はピンキリで施設の立地や内装、部屋の質によって費用は変動します。少ない費用で済む施設もたくさんあります。
養護老人ホーム0円0〜1万800円65歳以上
身体的に自立
医療介護が不要
役所が入所を判定
高齢者でも介護が必要というより保護的な施設です。
特別養護老人ホーム0円7〜15万円原則65歳以上
要介護3以上
特定疾病があれば40歳〜64歳でも入所可
介護サービスを施設内で行う老人ホームです。施設職員がリハビリテーション、レクレーション、入浴、食事等のサービスを提供します。特別な有料サービスを利用されない限り追加の費用がありません。費用は少ない費用で施設の立地や内装、部屋の質によって費用は変動します。公的な施設で入所は全ての人ができるわけではなく選抜されます。申し込むことはできますが、入所するまでに時間がかかります。施設は足りていないと言われています。
老人保健施設0円10〜15万円65歳以上の要介護1以上
40歳〜64歳の特定疾病で介護認定
認知症軽度
在宅復帰を目的とした施設です。在宅で生活できるようにリハビリテーションや医療行為を行います。医師が常駐しているので薬も老人保健施設でもらうことができます。費用は公的施設なので少ない費用で済みます。しかし、在宅復帰が前提なので治療やリハビリテーションをしたが在宅復帰が見込めない方は退所の対象になります。1回退所し在宅で過ごした後にまた再入所することを繰り返す方もいらっしゃいます。医師が常駐していることや病院並みの医療サービスが安心感になっています。
介護医療院0円8〜15万円65歳以上の要介護1以上
40歳〜64歳の特定疾病で介護認定
医療が必要な方
老人保健施設と違い過ごすことを前提とした医療機関です。特に、生活する上で医療サービスが必要な方が入所されます。胃ろう等の処置は、24時間体制なので医療機関でなければできません。その他、医療サービスが必要な方が入所されます。費用は公的施設なので少ない費用で済みます。また、入居期間に制限はありませんが医療行為が必要なくなれば退所を促されるかもしれません。医師が常駐していることや病院並みの医療サービスが安心感になっています。新しい施設形態なので数は少ないです。
施設の費用、入所条件、特徴を比較

まとめ

  • 介護施設は目的別に9種類の施設があります、ただし養護老人ホームは一般的な介護施設ではありません
  • 一人で暮らせない理由には、体が動かない、認知症の進行、老後で頼れる人がいないがあります
  • 体が動かない方向けの介護中心の施設は、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、介護医療院です
  • 認知症対応の施設は、グループホームが専門です
  • 専門ではないが重度の認知症対応の施設は、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護医療院です
  • 専門ではないが軽度の認知症対応の施設は、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅です
  • 軽度の認知症対応の施設に認知症の診断を受けた方が入所すると認知症が進行して重度の症状になり転居になることが多いので、最初からグルームホームか重度の認知症対応の施設に入所されることをおすすめします
  • 老後が心配な方で生活動作に困っていない方は、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホームがおすすめです
  • 終のすみかではないですが在宅復帰を目指すなら老人保健施設です
  • 養護老人ホームは、高齢者の保護施設です
  • 施設の費用が少ないのは、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームです
  • 住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホームは、立地や内装、部屋の質で費用は変わりますが費用が安い施設もたくさんあります
  • グループホーム、老人保健施設、介護医療院は平均的な費用が多いです
  • 費用が少ない施設は人気があり空室がなく待機して順番待ちをすることがあります
  • どんな生活をしたいかを考えながら目的に合った施設選択をすることが大事です

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